Good-by Seventeen

どうなってんだよ

下手くそな言い訳

2月の頭から中盤にかけて、不眠症というか、生活サイクルが狂ってしまいメンタルがボコボコだった。
4時頃布団にはいり、日が上ってから眠りについて、15時頃起床。そのままバイトに向かう、という生活。
ひどいときには7時半になっても眠れなくてさすがに笑ってしまった。
そして無理矢理寝ても必ずといっていいほど変な夢を見る。起きても疲れが全くとれなくて辛かった。


私は布団に入ったときが1日の中で一番頭が冴えている。前に言われた嫌なこと、今抱えている問題、将来の不安などなど。過去現在未来をいっぺんにごちゃごちゃ考えてしまう。


まあこんなのは今に始まったことではないし、寝付きが悪いのも昔からなんだけど、今回は特に酷かった。
また眠れないんじゃないか、変な夢を見るんじゃないかと思うと夜が怖かった。


精神的に限界で、お母さんに半年以上ぶりにヘルプLINEを送った。ほんとは心配かけるからあまりしたくないんだけど。
そしたら有休を使って東京に来てくれることになった。一緒に世界らん展を見に行こうって。



お母さんが東京に来る日の前日の夜。布団の中で少し泣いた。
貴重な有休を使ってお母さんが地元から東京に。朝一の電車に乗って、新幹線に乗り継いで。交通費だって安くないのに。


当日は水道橋駅で待ち合わせ。
世界らん展は東京ドームで毎年行われる。去年もお母さんと一緒に見に行った。展示の規模がとても大きく、蘭の香りはとても強くて、会場は良い匂いでいっぱいなんだ。


中に入ってロッカーに荷物を預け、たこ焼きを買って座って食べた。
二人でゆっくり見て回って、あの展示すごいねとか、あの色綺麗だねとか、一つひとつの蘭の香りを嗅いだり、お互いに写真撮りあいっこしたりした。
見たこともない色や模様をした蘭。生け方やデザインに圧倒された。
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途中席に座って休憩してるときに、その日開催されるイベントの1つである、フラダンスショーが始まった。
二人でなんとなく眺めながらお母さんに「小学校の学習発表会で、私がフラダンス踊ったの覚えてる?」って聞いた。


学習発表会って、普通は劇をやるものだと思うんだけど、なぜかその年はフラダンス、阿波おどり、一輪車を披露した。他にも、当時流行っていたビリーズブートキャンプもやった。私はやらなかったけど。
今思うと統一性が無さすぎる。なんなんだ。


「覚えてるよ」ってお母さんは言った。
阿波おどりもやったね。○○は表情が本当に上手だった」
「一輪車も」




阿波おどり、本物はどうなのか知らないけど、先生に踊りながら変な顔をするように言われて、私は全力で変顔をしながら踊ったんだ。保護者のいる客席の間を踊りながら練り歩いて、両親の前も通った。


一輪車は最後に全員でやる大技があったんだけど、本番で失敗してしまった。
どうしよう、ってなってる中、私が客席に向かって「もう一回お願いします!」と言ったんだ。
再挑戦が見事成功して、終わった後に先生にその行動を誉められて、連絡帳にもそれを書いてくれた。



あの頃は、自分に対してもっと自信を持ってたな。
こんなにビクビクしながら生きてなかった。
自分はいろんな事ができるって思っていたし、将来は希望だらけだった。


10年後、こんな風に辛い気持ちで生きてるなんて、思ってなかったよな。




お母さんの言葉と、こんな思いが頭をめぐって、思わず涙ぐんでしまった。
明るく華やかなフラダンスのパフォーマンスを見て泣いてるなんて変な人だ。
お母さんに「どうしたの?」ってバレそうになったけど、あくびだよ、って下手くそな言い訳でごまかした。



バイトのこととか悩んでることとかちょっとだけ話して、少し気分も晴れた。


残りの展示を見て、蘭を販売してるところも回って良いのがあったら買おうと思ったけど、時間がなくて買えなかった。
「今度ゆっくり、花屋で選んで買いな」って言われて、花のある生活もいいかもなって思った。


上野駅までお母さんを見送りに行って、夕飯にって美味しそうな駅弁買ってもらった。
「このまま一緒に帰ろうか?笑」なんてお母さんが言って、そうできたらどんなに良いだろうって思ったけど、「無理だよ」って笑った。



改札でお母さんを見送って、姿が完全に見えなくなった後、どうしようもなく心細くなってしまってポロポロ泣いた。一人暮らしを始めたときだってこんなに心細くなかった。今までどうやって一人で生活してたのかわからないくらいに悲しかった。

もしかしたら小さい頃、保育園でお母さんを見送った時もこんな気持ちだったのかもしれない。
もう21歳なのに。大人だぞ。しっかりしろ。
まだまだ私は小さな子供で、全然成長してないんだって思った。


涙が止まらなくて、弁当の入った袋を握りしめて、指で目を拭いながらトイレに急いだ。
周りの人に変な目で見られたかな。



もっと、ちゃんとしよう。
大丈夫だから、頑張ろう。
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